ラタンについて

籐(ラタン)の歴史

日本での籐(ラタン)の歴史は古く、1000年以上前から愛用されてきました。と言っても、当初は家具として使われていたのではありません。藤原時代の重藤の弓、なびなたの柄巻、鎧のかがりなど、戦いの武器に多く使われていました。また建築にも用いられ、神社仏閣の棟と棟との接合や、木口のひび割れを防ぐためのタダ締めなどに欠かせない素材とされていました。そして、徳川時代になると籐工芸の技術が進歩し、たばこ差しなどが作られていました。

明治時代になり、ようやく家具として使われるようになってきました。シルクロードから揚子江を経由して満州から籐(ラタン)家具の製造技術がもたらされたこと、欧米との交流の中で椅子の文化が浸透したことにより飛躍的に広まりました。当時、籐(ラタン)の椅子は「西京丸」と呼ばれ人気を博し、また同じ頃作られていた乳母車も爆発的人気だったそうです。大正時代になると従来の籐製品だけでなくバスケットやカゴなども多く作られるようになりました。

戦争中は一時中断していたいましたが、戦後GHQの進駐により本格的に復活しました。タンス類などの箱物家具もこの頃から作られるようになり、国内の籐(ラタン)家具の生産は活況を迎えました。高度経済成長期に入り機械化・合理化が進み、生産拠点は国内から海外に移りましたが、台湾やフィリピンなどとの交流により技術が発展しました。その後、曲げ木などの技術も向上し、様々なデザインの籐(ラタン)家具が作られるようになりました。現在ではスチールと組み合わせるなど繊細なデザインのものもあり、様々な用途や場所で使われ愛されています。

籐(ラタン)って何?

籐(ラタン)は熱帯や亜熱帯に自生するツル状のヤシ科のつる性植物で、表皮に長いトゲを持っています。そのトゲを使い、他の高い樹木にまつわりつきながら太陽を求めて高く伸び上るように成長していきます。また成長速度も他の樹木と比べて随分早いです。種類も200種以上と多く、原産地としては、アジア南部のインドネシア、マレーシア、フィリピン、ボルネオ、スマトラ等です。


籐(ラタン)の特徴

籐(ラタン)の最大の特徴は「軽くて柔らかい」という性質を持ちながらも「強度がある」という一見相反する特徴を有していることです。そのため、椅子の背もたれなどは程よいしなり具合で体にフィットします。つる性植物特有の軽さと柔軟さを併せ持ちつつ、堅牢な性質の籐(ラタン)は大事にお手入れすると半永久的にお使い頂けます。

柔らかくて加工性に優れた籐(ラタン)は複雑な曲線も自由にデザインすることが出来ることも特徴のひとつです。機械化が進んだとはいえ、まだまだ職人の手に頼ることが多く、しなやかで滑らかな曲線は機械などでは作り出せない上品なデザインです。

籐家具の製作工程
型作り

図面に合せて板に木材や釘を打ち付け木型を作ります。フレームを曲げる時に使います。

曲げる

籐は熱を加えると曲げやすくなる性質があります。それを利用してガスバーナーやスチームなどで加熱し、木型に合せて曲げていきます。曲げやすい性質の反面、元の形に戻りやすいという性質もあるため治具を使って形を固定します。

組む

フレームなどの各部材を釘や木ネジで組み立てていきます。籐家具(ラタン家具)はほとんど接着剤を使用しないので、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなどの有害物質はほとんど含まれていません。

巻く

接合部の補強と釘や木ネジの目隠しを兼ねて、皮籐(ピール)を巻きます。安価な籐家具(ラタン家具)ではこの部分が粗悪なものを使ったり、緩んでいたりします。

編む

座面や背もたれなどに使う部分を編み込みます。編み方の種類も四ッ目編・ざる編・目積編・あじろ編など多数の編み方があります。

塗装

塗装前には入念にペーパー掛けを行い表面を滑らかに仕上げ、その後塗装を行います。塗装はポリウレタン樹脂塗装なので、表面仕上りや強度に優れ耐久性も抜群です。


籐家具の選び方

選ぶときに見るべきポイント

現在、国内の籐家具(ラタン家具)の主な生産国はインドネシアです。現地の工場は、大規模なものから家内工業的なものまで多数あり、各工場の設備や職人の技術力には大きな差があります。

当店で取り扱っている籐家具(ラタン家具)は優秀なAクラスの工場で一流の職人が現地に常駐する日本人技術者の指導の下、全て手作りで作られています。また、使用する原材料の籐もグレードの高いものを選別しています。ですから、同じようなデザインの籐家具(ラタン家具)でも品質の差は一目瞭然です。特にフレームの接合部の皮籐(ピール)巻き部分や塗装の仕上り具合は、その違いがよりはっきりする部分です。

品質の悪いものは皮籐(ピール)巻き部分が緩んでいたり、切れかけているものもあります。また、塗装は当店の商品はポリウレタン塗装なのに対して、安価な商品ではラッカー塗装などが使われています。ラッカー塗装ではしばらくすると、すぐに塗装がはげてくるので違いがわかります。さらに、塗装前のペーパー掛けが不十分なために表面がザラザラしているものもあるので、実際に触れて確かめてください。

座面のポイント

最もお薦めする座面の種類は、当店で扱うダイニングチェアやスツールなどの多くの商品に採用されているアジロ編みです。これはホーロー質の皮籐(ピール)を編み込んでいますので、座った時の弾力性や強度的に大変優れており、肌触りも滑らかな籐家具において最高級の編み方です。クッション付きの商品であれば、夏は取り外して涼しく、冬はクッションを付けて暖かくお使いいただけます。

ソファなどに多く採用されているのが流し編みと呼ばれる編み方です。これは太民や中民を組み合わせたもので、通常はクッションを置いて使用します。クッションを外しても座ることができますが、無理な態勢や加重のかかり方によってはフレームが折れてしまうことがあるので、ご注意ください。座り心地もアジロ編みと比べるとよくないので、クッションを取り外してお使いになることはお薦めしません。

回転いすは座面下に回転板を取り付けるために、クッションの下が板張りになっているものがあります。これらの商品はクッション下が直接ベニヤ板のため弾力性がないので、安物のクッションの場合は座り心地が悪いのでご注意ください。京都ラタンで扱う商品はクッションを厚めにして快適な座り心地を実現していますので、ご安心ください。

また、座面の角度もイスの種類によって微妙な違いがあります。ダイニングチェアはほぼフラットか若干後ろ側に傾いているぐらいですが、ソファやアームチェアなどになると、よりはっきりと後ろ側に傾いています。それにより、ゆったりと沈み込むような感覚でくつろぐことができます。その違いは一度座ってみて体感していただくとはっきりとわかります。


背もたれのポイント

背もたれの仕上げには大きく3種類あります。皮籐(ピール)を使ったアジロ編みと四ツ目編み、それと丸籐を格子状に編んだ流し編みです。それぞれもたれた時の感触が違いますが、アジロ編みが最も強度に優れていて感触も気持ちが良いです。それに比べると四ツ目編みは若干強度が劣っています。流し編みはそのままでも使えますが、クッションがあった方がより座り心地はアップします。

背もたれにおいてもうひとつ重要なポイントは背もたれの角度です。ダイニングチェアは主に食事をするためのイスであり、深くもたれることが少ないことから、垂直に対して5度前後の緩い傾きのものがほとんどです。反面、ソファやアームチェアなどはゆっくりとくつろぐことを目的にしているので、ダイニングチェアに比べて後ろ向きに傾いています。それぞれの用途に応じて種類が異なりますので、目的にあわせてお選びください。

籐家具の背もたれの特徴としてもうひとつは、素材自体に弾力性があるので、もたれた時に程良くしなり体に優しくフィットします。ハイバックチェアなどは背もたれも高く包み込むようなフィットを感じていただけます。


お手入れ方法

日々のお手入れ

日頃のお手入れは、はたきでホコリを落としたり布か雑巾等でカラ拭きをすれば十分です。濡れ雑巾でも結構ですが、籐(ラタン)は水に弱いので固めに絞って水気を切ってから拭いて下さい。また、皮籐(ピール)の巻き部分やフレームとフレームの間の溝部分はホコリが溜まりやすい部分です。溜まったゴミやホコリ等はつまようじか水に湿らした綿棒で取り除いて下さい。使い古した歯ブラシや掃除機を使っても結構です。編み目部分もホコリが溜まりやすいので、時々洋服ブラシ等で掃除して下さい。

シミや汚れがついた場合

柔らかい布かスポンジに家庭用の中性洗剤(食器用洗剤)を薄めたものをつけ、汚れた場所を軽く拭きとって下さい。汚れがすぐに落ちない場合はたたくようにして汚れを浮かして下さい。汚れが取れましたら、乾いた布で洗剤と水気を丁寧に拭きとって下さい。

※シンナーや家庭用ワックスの使用は塗装がはげる場合がございますのでお止め下さい。